【第4話】翔太の警備日誌|翔太の母、挨拶にくる

翔太がいつものように制服を着て出勤。
朝、母がちょっとだけ不安そうな表情で「気をつけてね」と送り出す。
翔太は「大丈夫やって!」と明るく笑って玄関を出る。


翔太の母が、突然会社に現れる。
事務所にいた松上社長が出迎え、「わさわざご挨拶に来ていただいて、ありがとうございます」と丁寧に対応。

ふとした会話の中で、翔太の母が「泉西高校の…」と話すと、松上社長が「えっ…!?もしかして中川さん!?」
なんと二人は泉西高校の同級生だったのだ。
昔話に花が咲くも、翔太の母はすぐに話を戻す。
「翔太が、ご迷惑かけてないでしょうか?」


「翔太は不器用やけど、一生懸命な子なんです。あの子が、ここで少しでも成長してくれたらと…」
目にうっすら涙。
「実は…私の体も、あまり良くなくて」

「翔太くんから話は伺ってます。いろいろご心配なことでしょう。」
「でも翔太くんは、まっすぐな子や。翔太君のことは、心配しなくていいですよ。」
「現場で苦労もするやろうけど、ああいう子は、信じた道を歩ませるのが一番やと思います。」
「人への思いやりがある警備員になれたら、それで十分です。」
「僕らがサポートしますから、どうか安心してください」


帰ってきた翔太。
「えっ、母さん来たん?なに話したん?」
母はニッコリ笑って「ちゃんと見てくれてるって。いい人たちばっかりやったわ」
翔太「……なんや、照れるやん」
翔太がちょっとだけ大人びた表情になる。

まだまだ俺は未熟やけど、信じてついていけばいいんだ。

「よしっ!明日がみえてきた。」


つづく → 第5話:片側交互通行、はじめてのペア